完成図
完成図
●構図
写真は絵ではありませんからね。描き始める前に撮影しています。
机、布、ビン、花という古典的なモチーフです。
構図ですが、
左右のバランスを大切にしましょう。今回は花の向きに注意します。花が左を向いていますので、左には空間を作ります。ビンが中央にないこと、左にはモチーフがない空間(真っ黒な部分)があることでバランスが良くなっています。
モチーフの大きさが分かるように画面に入れましょう。上の⭕️部分では、布の上面が少し描かれているだけで、布の大きさが想像出来ます。
手前の布も同様に入れます。画面に収まることで、布の大きさ・形が分かるので安定します。
逆に机は失敗です。手前の角が描かれていないために、机がどれだけ手前まであるかがわかりません。(実際には少し描いてありますが、写真ではイーゼルに隠れてます)
鉛筆や木炭で下書きしましょう。構図を決めること目的として、描き込む必要はありません。どうせ消えます。
絵具を塗りますが、揮発性油で思いっきり薄めたものでスタートしましょう。絵具は安価な茶色が良いでしょう。注意頂きたいのは、透明色を使わないこと。透明色は次に塗った色を染めます。(透明色の赤の上に白を乗せるとしましょう。しばらくすると白が赤くなって行きます。)
形を探ります。先ほど使用した茶色で揮発性油の量を減らして描きます。形を決める作業が目的です。バッチリデッサンする必要はありませんが、大きく違うと困るので、形には注意します。明らかに暗くなっている場所には暗く塗ってしまいましょう。
油は揮発性油にほんの少し(10%程度)乾性油を入れましょう。または、ペインティングオイルなどあらかじめ調整されたものを半分程度入れても良いでしょう。
厚塗りは避けつつも色を乗せます。まだ、黄色いものを黄色く描くのではなく、明るいところに白、暗いところに色を乗せます。
見たままの色=固有色
むしろ、見たものと違う色を乗せるべきで、後々効果を発揮します。くれぐれも透明色は控えた方が良いでしょう。
さらに明るいところに白。暗いところに何かしら色を乗せます。
白は比較的厚く塗って構いません。白は早く固まります。
この辺で時間を開けると絵が丈夫になります。
手で触って付かないなら後半戦開始です。
油の乾性油濃度を30%位まで高めましょう。ペインティングオイルであれば、そのまま使用して大丈夫です。
固有色を見たまま乗せていきます。多少の明暗は無視しても、すでに作られた明暗が消えることはありません。
描き込みもどんどん行いましょう。ナイフで厚塗りというのだけは我慢して下さい。
明るいところから仕上げていき、明るいところはガッツリ盛り上げてもOKです。暗いところは最後にサラッと固有色を塗ります。その程度がちょうど良いでしょう。
花の中心が白いのが見えるでしょうか?グレーズ技法と言って、明るい色(私は真っ白)で描き込み、固まってから薄い固有色を塗り、白で描き込み・・・と繰り返します。花は全てグレーズ技法を使用しています。
違う絵ですが、この絵はグレーズ技法を多用しています。黄色く見える花は全て白で描かれています。上からオーカー(黄茶色)を薄く塗ることで、この色になります。はじめからその色を塗れば?と言われることがありますが、違います。彩度が高いことと、マチエル(凸凹)が強調される点で、混色では真似出来ません。
さて完成です。
偉そうな解説失礼しました。始めにも書きましたが、私は教える程の高い技術を持っておりません。
この絵で言いますと、ビンはデッサンに甘さがあり、花の存在感は足りません。
ただ、大切なことは正しい知識を持つことです。