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パステルという画材
絵画工房オニア
ここでは、私が使う道具について紹介します。
パステルでは、油彩などのように色以外の画材がずらーっと並ぶことはありません。わずかな道具で十分です。極端な言い方をすると、指さえあれば十分です。
それでもいろんな道具を使えば、それだけ表現が広がりますし、早く描けます。
パステル画で道具というと、ほぼ「ぼかす」道具です。擦り込むと言ってもいいかもしれません。パステル画はぼかしながら描き進めるのが王道というか、ポピュラーな描き方です。
私だけでなく、いろんなパステル画家が「描いて、ぼかして、また描いて」というか描き方をしています。
それでは、私の使う画材たちを紹介します。
パステル用画材の使い方
パステル用画材の効果と使い道
紙はヴィフアールの粗目に水彩で色を付けたもの、パステルはラウニーを使用しています。
・ゆび
ゆびは一番基本の道具。
もちろんパステルを持って描くために使うということではなくて擦るために使います。
ゆびは細かい作業ができるわけではありませんが、微妙な力加減ができます。いろんな表現が可能で、ぼかすというよりも、定着させる感じになります。
手の水分・油分が多いと色を取ってしまいます。
指を使うと比較的柔らかく伸びます。他のぼかし道具と比べて、伸びる距離は短い。しかし、強く定着します。何より自分の指ですから、微妙な力加減が可能です。
弱点としては、ゆびは太いということ。細かい作業は行いにくい。
・シェーパー
カラーシェイパーという名前です。
油彩などでも使われますが、あまり流通している画材ではありません。ゆびの代わりに使います。
ゆびより細かい作業ができるのが利点。デメリットとしては、ゆびに比べて変化のない一定の表現になってしまうということがあります。
カラーシェーパーは指を細くした感じで使い勝手は良い。
指と違うところもあり、指よりさらにボケ足は短く、強く定着します。
・筆
筆も使えます。私は豚毛以外使っていませんが、他の筆も使えると思います。
筆といっても「色を付けて塗る」という作業ではなく、画面をこすりつけて色をぼかすという目的で使います。
こすりつけて定着させると同時に、余分な色を削ります。終盤で使うと、せっかく定着した強い色が削れたりするので、序盤の方が利用価値は大きいと思います。
私が一番使う道具。
筆はかなり柔らかく伸びます。
特徴的なのは、色を削りながらぼかしていくので、均一に伸びていきます。
ボケ足は非常に美しい。
定着力は指に劣ります。
・スポンジ
スポンジはパステル画用の道具として売られていますが、私はファンデーション用のものを転用しています。
化粧品の方が安価です。良いものを選ぶ必要はないと思います。私は100均でたくさん入っているものを購入しています。
基本的には消耗品で、汚れると使いにくくなります。
基本的にはぼかす道具ですが、色をつけた後は、色を取る力が強すぎて、使いにくく、序盤の段階で能力を発揮します。
広い面に色を付けていくために使うと効果的です。
パンパステルには必須の道具。
スポンジはきれいにボケますが、かなり色を抜き取ってしまいます。
序盤は重宝しますが、中盤以降は色が消えてしまうので、使いにくい道具です。
スポンジの力が発揮されるのは、「描く」道具として使う時です。
写真のように粉が浮き出るくらいのパステルを紙にのせます。これをスポンジですくいます。
色を含んだスポンジで擦ると色がきれいにのります。(パンパステルはこの技法をそのまま画材としたものと言えます)
このやり方は、ゆびでもできます。
・綿棒
綿棒は耳の中に入れるあれです。
スポンジに近い効果がありますが、スポンジよりは色を取らない感じ。
小さな面を描くときは、これとカラーシェイパーで描いていきます。
硬めの軸だと使いやすい。柔らかいものや、軸がすぐに折れるものはダメです。
綿棒のメリットは狭い範囲をぼかせることに尽きます。
正直きれいにボケるわけではありませんが、細かい作業を行う上では、これ以外では難しい。
・擦筆(さっぴつ)
擦筆(さっぴつ)はデッサン用具で、木炭や鉛筆と合わせて使われます。用途として、ぼかしたり、定着させたりとパステルにも通ずるものがあります。
サッピツはもともと画材ですから、使いやすい道具です。
写真は硬いサッピツで、かなり強いボケ方になります。柔らかいものは綿棒とあまり変わりません。
・消しゴム
ねりけしとペン型の消しゴムも使います。
パステルは消しゴムで消すことのできる道具です。
当然ですが、フィキサチフで定着させた後は、あまり消えなくなります。
もちろん消すために使いますが、綺麗に消えるわけではないので、調子を落としたり、描くように使うことを目的としています。
写真は筆でぼかしたものを、練り消しで消しています。きれいに消えるとは言えませんが、これくらいは消えてくれます。
・カッター
カッターはパステルを削るために使用します。削り出してからこすることで、広い面に色をつけることが可能です。
広い面に弱く色を付けたいときに効果的です。
カッターで削ったものを、筆でぼかしています。
描いてからボカすこととの違いは、弱く広い範囲が均一にボケてくれるところ。
反対に強く色をのせたいなら、描いたほうが強くなります。
・フィキサチフ
フィキサチフはパステル用のものが売っています。
鉛筆画、木炭画と違い、製作中に何度も使います。途中で定着させることで、重ね塗りがハッキリとします。
だいたい3回〜5回使います。
使うと、色が透明に近付きます。暗いところにのせたホワイトが見えなくなったりします。
そんな理由で、完成後には使わない人もいます。
都市伝説的なところもありますが、ヘアスプレーで代用できるみたいです。私は使ったことがありませんが、使用感は良いみたい。数年後の保証はできませんが…
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