はじめに…
ここにあることは、私なりの見解に近いもので、毒性の真偽は皆さんに判断いただきたい。
ただ、闇雲に「画材=毒」として欲しくないし、子供用の食べて良いものを除けば「無毒をうたっている画材=無害」というのも違う。
ただ、毒性の表示については知っていた方がいいと思う。


⚫︎パステルは毒性の強い画材か?

パステルは粉状になる画材です。
粉状ですので、吹けば飛ぶ。体内に入りやすい画材と言えます。
それが理由なのか、パステルの毒性について質問を受けることが多々あります。素手で扱い、粉が舞う画材ですから、不安に思っても当然でしょう。

結論から申し上げますと、「無害とは言えない。」が正しい解答かと思われます。


⚫︎粉末は非常に危険な状態

粉末状になる画材は多くありません。
多くの画材は液体で、描いた後も強固な固体になるものがほとんどです。
それらの画材も、手に付いたり、衣服を汚したりと、体内に入る可能性はあります。

しかし、粉末状であるということは、常に空気とともに吸引して、大量に体内に入る可能性があります。よく注意しても、完全に防ぐことは難しいでしょう。
パステルのように粉末状になる画材は非常に危険な状態と言っていいでしょう。

ただ、パステルは素手で扱う画材だけに、極端に有害な顔料は避けられています。(使われていてもわずかな量)


⚫︎パステル以外の粉末状画材

粉末状になる画材はパステルだけではありません。

例えば「鉛筆」
小学生も使う、非常に身近で安全な文房具ですが、書けば粉状になります。
色鉛筆、木炭も同様です。

木炭は私が学生時代によく使う画材でしたが、数時間描いていると、鼻の中が黒くなったことを覚えています。

これらの画材は知らない間に体内に入っているということです。

粉末であることそのものが、リスクと考えていいでしょう。



⚫︎有毒な画材は珍しくない。

画材には有毒なものが多く、油彩中心に危険な物質を含んでいるものは珍しくありません。安全な画材と区別なく、画材店に並んでいます。


⚫︎高価な画材は有毒であることが多い。

理由を特に調べたわけではありません。有害な絵具は高価なことが多いです。油彩や水彩の場合、同じ量の絵具でも、それぞれ違う金額を設定されていることが多い。

代表的なものが「バーミリオン」
非常に有害なこの色は、どのメーカーも一番高価で、高級品扱いされています。
バーミリオンの成分は「硫化水銀」というもの。危険であることはわかっていただけるだろうか。


⚫︎カドミウム、シルバー、コバルト

カドミウム

すごく鮮やかな黄色から赤まであります。油彩ではどのセットにも入っている、ポピュラーな画材。
カドミウムは一般的にも知られる有害物質。

シルバーホワイト
油彩ではもっとも使用される白。使用量は他の色と比較にならない。
しかし有毒な「塩基性炭酸鉛」含みます。鉛白と呼ばれ、白粉(おしろい)に使われていました。

コバルト
危険度はこの上なく高い。絵を描く人も、コバルト系を避ける人は多い。

⚫︎パステルはこのような有害な顔料を含むのか?

今まで紹介したような毒性の強い顔料はパステルに使われることはない。
理由は危険すぎるから。

しかし、無害であるかは疑問です。
なぜなら、画材に求められるのは色の美しさだからだ。色味を無視して安全性を最優先することはないと思うから。
事実、私が調べた限りでも微量の有害顔料は確認できました。
その量がどれだけ害なのかはわかりませんが、「健康第一」ということはなさそうです。

パステルは体に入ることを前提に考えたい。安全性を考えて画材を選ぶべきだと思う。

⚫︎無害をアピールしているパステルメーカー

「有害な物質は気にしてるよー」ということは、どこのパステルメーカーも言っています。
しかし、「有害な物質は一切使っていません」など、自信満々なメーカーは少ない。

無害を長所としているメーカーを紹介します。
※いずれもパステルのみ

・ホルベイン
「有害物質を含まない」と言い切っています。反面、体内へ顔料が入ることを避ける注意書があり、無害な顔料でも安全でないことを示しています。

・レンブラント
セットの箱へ、有害な物質を含まない旨の記載があります。ホームページでは触れていないので、色によってはあるかもしれません。

※この項目はさらに研究して追記したい。

⚫︎毒性を示す記号・表示

安全性を気にする画家は多く、見分ける手段が用意されている。
まるでJISのように、第三機関が保証する形のものがある。(もっとも、画材のためのものは、無毒というより害が小さい程度だ)
どんな表示があるのか見ていこう。

⚫︎安全性を保証する記号・表示

・APマーク
これは無毒です。というマーク。
無害と言っていい画材であると保証している。かなり有名で、アメリカの基準ながら、世界中のメーカーで使われる。

・CEマーク
子供用の製品であることを示す。
画材だけでなく、玩具に使用される。ヨーロッパで普及している規格です。

⚫︎毒性が強いことを示す記号・表示

・CLマーク
毒性があることを示す。
ただ毒性があるということではなく、正しく使えば安全だということを保証しているマーク。
・セントアンドリュースクロス
有毒であることを示す。
カドミウムなど、有機化合物が含まれているものに多い。