⚫︎パステルって何?

パステルという言葉は意味が広いです。


学校とかで使うチョークもパステルと言えばパステル。クレヨン、クーピー、色鉛筆の中身も・・・
学校で配られたりするヌーベル社のカレーパステルが日本で最も普及していると思いますが、これはハードパステルと言われるものです。

 
パステル画と呼ばれるものはソフトパステルを使用されていることが多いです。
日本のメーカーではゴンドラとホルベイン。ただし、日本ではパステル画を作品として描く画家が少ないこともあり、単品で売っている画材屋は、非常に少ないです。→オススメの画材店

また、個人的な感想ですが、油彩や水彩に比べて欧州メーカーとの力差があり、しっかり描くなら欧州産のものです。
これらは、さらに手に入れることは難しく、都心へ足を運ぶか、通販しか方法がないでしょう。

【今から画材を揃える方へ】

各社色々なセットを揃えていますが、セットでの購入は20色〜30色程度にしましょう。たくさん揃えれば、それだけたくさんいらない色も増えます。
これはたくさんの画家が同じ様に言っていますので、皆さんそうなってしまうのでしょう。

買い足していく方が経済的で作品が「あなたの色」になります。そして1本ずつ増やしましょう。新しい色と仲良くなってから次を買う感覚が良いと思います。

メーカーですが、セヌリエとシュミンケの柔らかさは別格で、色数が減ってもこちらを揃えるべきです。
どうしても安く済ませるなら、ラウニーかホルベインでも良いでしょう。
ただし、20色程度にしておきましょう。かならずもっと良いものが欲しくなるはずです。

硬いパステル(ヌーベル・ゴンドラなど)は失敗が許されない透明水彩に近い描き方を行う必要があり、パステル初心者が硬いものからスタートすることはオススメ出来ません。
ハードパステルとソフトパステルは違う画材だと認識して良いとおもいます。水彩と油彩並みに違うと感じています。

パステル初心者だった私が描いた作品
ヌーベルカレーパステルを使用しています。
直後に「ハードパステルじゃ限界あるよ」って言われて描いた作品。
違いがわかりますでしょうか?構図もこちらの方が良いですが、色がよく混ざり、描きやすそうに見えませんか?
私はこれを描いて、ハードパステルはほぼ使わなくなりました。

【ソフトパステルの画材箱】

パステルは保管が大変です。
パキパキ折れます。パステルのセットが入っている箱はキレイで、パステルの保護も十分ですが、実用的ではありません。
人にもよりますが、あのきれいな並びを維持することは出来ないかと思います。

私がオススメしているのは、牛乳パックの底を切ったもの。ピッタリ入ります。同系色を入れておきましょう。
これを任意の箱に入れておけば、立派な画材箱です。


【ハードパステル】

・ターレンス (旧サクラ) ヌーベル カレーパステル

日本ではいちばん普及しています。GMSなどでも買える画材で、パステルといえばこれ!という方も多いのではないでしょうか?150色あり、100円と安価です。

・サクラ コンテパステル

→持ってません。どちらかといえば、ドローイング用というイメージ。色数がなく、暗色や茶に偏っている。

・コンテ ハードパステル

評判は良いですが、使ったことがありません。一般的にコンテはパステルと違う目的で使用されますが、多くのパステル画家が使用している画材です。

【セミハードパステル】

・ファーバー ポリクロモスパステル

硬い割には色がよく乗る。使っている中では一番硬い。発色がキレイ。

・カランダッシュ パステルキューブ

→持っていません。

・ホルベイン セミハードパステル

→持ってません。セミハードとしてはめずらしく円柱状。評判は良くないです。

【ソフトパステル】(☆個人的評価)

・ファーバー ソフトパステル

→持っていません。ハーフサイズ。ソフトパステルなのに四角い。

・ゴンドラ ソフトパステル ☆

とても硬い。セミハードに近い。伸びはしてくれるので、削って使うと欠点は克服される。色数が242色あり、日本人好みの配色で中間色は海外勢より良い。特に緑。緑はどうやら日本人が得意な色らしく、油彩も水彩も緑は日本製のものがキレイな色を持ってます。ハーフサイズよりさらに小さいが、そこが使いやすい。単色で売ってますが、なぜか2本セット。

・ホルベイン ソフトパステル ☆☆

海外勢並みにやわらかい。色乗り、伸びも良い。ただし、色により使用感が不安定。250色ある。ハーフサイズで130円。割高だが、ハーフサイズで単色が買えるのは嬉しい。

安価に揃えたいならこちらをオススメする。

・ターレンス レンブラント ソフトパステル ☆

ソフトパステルとしてはかなり硬い。色や伸びは良いものの、色乗りは劣る。海外勢では唯一体に害がないことをうたっている。

・ラウニー ソフトパステル ☆☆

セヌリエ、シュミンケと比べると少し硬いものの、色乗りも伸びも良い。素晴らしいパステルです。価格も260円と許せる範囲で最も量が多い。これをメインに考えても良いが、暗い色やグレーに色数が少ない。

・セヌリエ ソフトパステル ☆☆☆

世界最高と言われている。525色は最多水準。シュミンケほどではないが、柔らかく、色乗り・伸びはシュミンケ以上ではないかと思う。価格は500円とシュミンケより安いが、揃えられる金額でもない。

ただ、ハーフが存在し5300円で20色、9000円で40色揃う。80色のセットもあるが40色で十分だと思う。初めに揃えるならセヌリエのハーフをオススメする。

※ちなみにハーフは単品がない。単品は通常サイズを買うことになります。

やはりパステルケースは自作すべきです。

シュミンケ ソフトパステル ☆☆☆

感動する程やわらかい。色の乗りが抜群で、色が乗らないという状態にはならない。発色もキレイで、すごくよく伸びる。600円と高価ですが、高いだけのことはある。でも、これだけで揃えることは難しい金額。

・ホルベイン パンパステル ☆☆

最近登場したパンパステル。伸びがものすごい。描画には適さないものの、描き始めやドローイングにはオススメ。ツルツルしたドローイング帳などで使うと永遠に伸びる。
色々と可能性を感じるが800円と高価。色数を揃えるのは厳しく、非常にかさばるので、これだけで作品を仕上げるのは現実的ではないかもしれない。

【他の道具】

・パフ(女性がファンデーションつけるあれ)

ぼやっと伸びる。固着させる力がある。また、パンパステルには必須。いろんな形がある。安価に手に入るが、汚れを取るのは難しく、使い捨てに近い。画材屋で買うより、化粧品売場で買った方が質がよく安価。男性の私がどう見られているのか不安です。たくさんあるので、じっくり選びたいけれど、完全に変なおじさんです。

・綿棒

ぼかしたり、定着させたりするが、細かいところはこいつ以外厳しい。ある程度の写実性が欲しいなら必須じゃないかと思う。高級なものは不向き。芯も先も硬い安価なものが使いやすい。

・筆(豚毛)

削る、刷り込むを同時に行う。紙の目が粗いと色を削り出すことが強くなり、使いにくくなる。終始使いながら色を調整して行く。

・カラーシェーパー

指の代わりです。刷り込み専用です。ぼかす力も弱いですが、細密になるとかならず必要です。パステルで写実を目指すなら絶対に必要。
あまり一般的な画材ではなく、画材店で売っているところを見たことはありません。油彩画用の画材で、指でゴシゴシすると色々問題あるからこれを使うみたいです。日本では作られてないみたいですね。

・消しゴム

パステルは消しゴムなどで(ある程度は)消えますので活用できます。
左はペン型消しゴムの芯。

・フィキサチフ

パステルはフィキサチフを使いながら描きます。最後だけでなく、途中に何度か使います。クサカベとホルベインのものを使用しています。使用感はクサカベがバリバリっとしっかり固めますが、ホルベインはしっとりした感じで固まった感じがしません。どっちが良いかは別として、クサカベのものはかけた後に描画すると違和感がすごいため、結局はホルベインの使用量が多くなります。
使いすぎると確実にパステルの色が変わるので、最低限を追求する画家が多いです。
まだまだ発展途上な画材と言えます。

【紙】

・マルマン VIFART 荒目/中目/細目

私が好んで使っているのはVIFARTのブロック水彩紙。国産のマルマンです。価格はF6サイズ×20枚で2,000円と高価な部類になるかと思いますが、手に入りやすい。
ブロックというのは4辺がノリ止めしてあり、水張りされている様なスケッチブックです。水彩画で水浸しにすると紙はぐにゃっと波うちますが、水張りされているものは乾けば元に戻ります。
私は水彩で全体に色をつけてからパステルを描き始めます。
パステルは初めから色の付いている紙のほうが描きやすいです。色の着いている紙は高価です。スケッチブック状のものは、好みの色以外が残ってしまいます。
水彩で着色する方が、楽で経済的で、自分にはあっています。ただし、外でガンガン描く様な場合は子供用の色紙を使ったりします。
パステルは紙の目が粗い方が適しているとされていますが、必ずしもそうではないと思います。粗い方が色はよく乗りますが、細かく描くことができません。細目は色が乗りませんが、よく伸びます。
迷うなら中目をまず買って、色乗りに不満なら荒目を、細部の描写や仕上がりに不満なら細目にしましょう。

・色紙

色紙も水張りされた様な紙です。紙質にこだわらず、安価に済ませたい時はこっちを選びます。野外写生などでは便利で、丈夫なため保管も楽です。

100均のもので十分描けます。写真のものの様に黒いものも、楽しく描けます。
和紙は避けましょう。毛羽立ちますので、パステルには向きません。高価なもので、画用紙を張ったものがありますが、そこまでこだわるなら、あえて色紙である必要はないでしょう。
⚫︎画材について、詳しくは別ページにて

作品の制作過程をもとに、描き方を詳しく解説しています。
真似して描いても、勉強になるかと思います。

パステルの特徴とも言えるぼかし。
ぼかすために不可欠な道具たちを紹介します。

質問として多いので、記事にさせて頂きました。概ね、パステルは安全にできているようです。

パステルの品揃えがある画材店をまとめました。
国産のものや、レンブラントであればそれほど苦労しませんが、マニアックなものは手に入りません。